お客様から自然薯をいただいた話

1年ほど前に、介護事業を運営されているお客様からご注文をいただきました。
とにかく文章が丁寧な方で、メールではいつも「一昨日の雪はなかなか大変でしたね」みたいな書き出しで始まる感じなので私はかなり年配の老紳士だとばかり思っていました。
なので打ち合わせに細身のスーツにオダギリジョーっぽいアシンメトリーな髪型をしたちょっと遊んでそうな青年実業家が来た時はかなり面喰いました。
思わず「えっ、代理人の方ですか?」と聞いた気がします。

最初は不動産とかを売り込みされるんじゃないだろうかと警戒していましたが、
「介護事業は理念がないとうまくいかない、ビジネスとして考える必要はあるが儲ける気持ちだけでやっても必ず失敗する」といった話を聞いているうちにすごく真剣に事業に取り組んでいる人なんだなと分かりました。

製作のための資料も「ここまで丁寧に作られたものは見たことがない」くらいちゃんと作られており、見た目と内容のギャップに終始「何なんだこの人は!?」と思いながら聞いていました。

サラリーマンを辞めて事業を始める際に数千万円の資金が必要で銀行に相談したが、担保がなく門前払いを食らったという話も聞きました。
借入ができず落ち込んでいると、知り合いの社長さんが「俺が保証人になるからこいつに貸してやれ、貸さないならおたくとの取引をやめる」と言ってくれて無事に融資が下りたそうです。
それを聞いても「この人ならそうやって助けてくれる人もいるだろうな」と納得してしまうくらい徳の高そうな人に見えました(変な髪型だけど)

製作はスムーズに進み納品も無事に終わった頃、「これから自然薯育てていくので年末に送りますね」と連絡が来ました。
「実家が農家なのかな?」と思ったのですがよくよく話を聞くと
・今後の介護保険改正では事業者だけでなく高齢者本人に対しても負担増となることが予想される(年金は下がっていくのに)
・本当に必要な人が介護を受けられない時代が来る場合に備え、要介護状態でもできる仕事を用意し給料が稼げる仕組みを作りたい。
・認知症や麻痺があっても作業分解で出来ることは作れる。単価の高いもの・美味しく健康に良いものとして自然薯を軸に栽培と販売を行う。
・課題は山積みだが給料として高齢者に払ってあげることを目標に頑張っている。そのために畑を300坪ほど借りた。
とのことでした。

「凄いなこの人…」と素直に思いました。
「トレードで勝つためのプログラム製作」を仕事にしていると、どうしても日頃考えることが「金、金、金!!」みたいになってしまいます。
またトレードはゼロサムなのでそこには「他人とのゲームに打ち勝つ」という視点しかありません。
それに対してこの方は、皆がより豊かになれるよう0から事業を創造し社会情勢を見極めつつ実際に行動しています。
自身の器の小ささを改めて認識すると同時に「リーダーとはこういう人であるべきだな」と思いました。

そのお客様から年末に自然薯が送られてきました。

自然薯1

直売以外でもお歳暮やスーパーで売っているらしいです。

自然薯2

もっと見た目が悪かったりするのかと思っていましたが、販売されているものと何も変わりません。
ちゃんとビジネスとして成立させているのが凄いです。

お礼のメールを送ると「コンロでヒゲを焼いて水洗いし、水分を拭き取ったらスプーンで皮むきすると調理しやすいですよ」と返ってきました。
相変わらず丁寧だな(笑)と思いつつ言われたとおりに下処理します。

買ったことがないので知らなかったのですが、自然薯ってヒゲを焼くとお香のようないい香りが出るんですね。
ネットで調べて長芋・大和芋とは別の種類ということも初めて知りました。

「皮を全部剥くのはもったいない」と書いてあったのでそのまますりおろして食べてみました。

自然薯3

普段買っている長芋とは粘りが全然違います。
醤油をかけてそのまま食べるだけでもめちゃくちゃ美味しい!
とろろご飯やとろろ蕎麦など色々楽しませてもらいました。

Yさんありがとうございました!

関連記事

ページ上部へ戻る